近年、歯科医院の方から「患者さんからのホワイトニングに関する質問が増えた」という声をよく聞きます。そこで、この記事では、患者からよく聞かれるホワイトニングに関する質問5つについて、「ホワイトニング教室」講師としてベーシックコースでの質疑応答セッションや特別講座での講義をご担当いただいている辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)に解説いただきます。

ホワイトニング患者を増やしたいけど、カウンセリング中の説明にまだ自信がないという方は、ぜひ参考にしてください。

 

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例えば、ホワイトニングが歯にどのような影響をもたらすか不安のある患者から「ホワイトニングすると、歯がボロボロになることもあるの?」と聞かれたら・・・

辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)
歯科医院で行う過酸化水素を用いるホワイトニングでは、歯を弱くしたり、ボロボロにすることはありません。過酸化物を用いるホワイトニングの場合、それらの中に含まれる酸素イオンが歯の中で動き回ることで変色の原因になっている色素群を分解していきます。つまり、歯の表面を削ったり、溶かしたりするのではなく、ホワイトニング材の成分が変色の原因となる物質を分解することによって自然な白さを獲得することができます。歯がボロボロになることはありませんので、ご安心ください

 

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ホワイトニングによって知覚過敏が生じる可能性があることはインターネット等の情報で知っている患者も多く、ホワイトニング前後に尋ねられることも多いのではないでしょうか。

辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)
ホワイトニング中、もしくはホワイトニング後に知覚過敏が発生することがあります。症状としては、しみを感じやすくなったり、痛みが出たりすることがあります。ただ、23日で症状が治まる方が多いです。もしご心配であれば、ホワイトニングの前後に知覚過敏を抑制するお薬を使用することも可能ですから、希望される場合は歯科医院のスタッフまでご相談ください

症状が長く続く場合は、別の要因が潜んでいる可能性もあります。患者から訴えがあった場合は改めて診察を行っていただくことをお勧めします。

 

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巷には、セルフホワイトニングサロンも数多く存在し、一般的に「歯科医院でのホワイトニングとどんな違いがあるの?」と思うのは自然なことかと思います。患者それぞれでニーズは異なるため、歯科医院でのホワイトニング(医療)とセルフホワイトニングについて違いを理解してもらいましょう。

辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)
薬剤の違いだけでなく、トータルサポートを受けられるのが歯科医院でのホワイトニングの強みです。医療機器として承認を受けていない薬材は、 歯の表面の黄ばみや着色を落とす作用はあっても、歯自体を白くする効果はありません。また、セルフホワイトニングでは、患者さんご自身でホワイトニングの施術を行わなければならず、歯科医の診断なしで開始するリスクはご自身で負う必要があります。医療機器として承認されているホワイトニング材を用いる医療ホワイトニングは、歯を内側から白くする効果があり、カウンセリングから始まりホワイトニング完了時まで、さらに不快症状が生じた際にもしっかりサポートしてもらうことができます。

 

ホワイトニング中の食事制限ははたして本当に必要なのでしょうか。以下の説明を行い、快適なホワイトニングをスタートしてもらいましょう。

辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)
ホワイトニングを行っている期間中の食事制限は特にありません。近年の報告では、色の濃い食べ物(お茶、コーヒー、ポリフェノールを含有するワインやフルーツ)を摂取することと、ホワイトニング効果との関連性は低いと報告されています※」
※Matis BA, Wang G, Matis JI, Cook NB, Eckert GJ. Oper Dent. 2015;40(3):235-40.

 

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ホワイトニングで患者が最も気にする点は「達成できる白さ」と「期間」ではないでしょうか。どう説明すべきかと構えてしまうこともあるかもしれませんが、実は、患者は学術的な話を聞きたいわけではなく、患者にとって不明瞭な部分がクリアになることを望んでいるだけなのです。以下の回答をヒントに、患者との会話をスムーズに開始しましょう。

辻本暁正先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座 主任教授)
歯科医院でのホワイトニングは歯を白くしますが、そのスピードには個人差があります。一方、詰め物や被せ物にはホワイトニング材は反応しません。また、神経のない歯(失活歯)は神経のある歯(生活歯)と比べて時間がかかりますが、ホワイトニング効果を得ることができます。いずれにしても、歯科医は患者さんの希望する白さや期間を確認したうえでホワイトニングを始めるため、際限なく期間が延びることはありませんので、ご安心ください。

 

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今回は5つのQ&Aをご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?上記の例が皆さまの日々の診療・ホワイトニングカウンセリングに役立ちましたら幸いです。なお、ホワイトニングに関して疑問やご質問がありましたら、ホワイトニングセミナー「ホワイトニング教室-ベーシック-」「ホワイトニング教室-特別講座-」を活用ください(いずれも視聴無料)。ご質問に対し、今回の記事にも登場していただいた辻本暁正先生よりリアルタイムの回答をしていただけます。